松本さんはREAL4をお使いとのことですが、まずはご自身の経歴をお聞かせいただけますか?
松本さん:
以前はいわゆるスーパーゼネコンで現場の責任者をしていました。日本全国で仕事をしていましたが、とにかく忙しくて寝る暇がなかった(笑)。建設現場というのはかなり過酷です。それを何とか改善できないかと思っていたのですが、大きい会社にいるといい改善案があってもそれを承認フローに乗せるのが難しい。会社にいたときの最後の現場が原子力発電所で放射能を除去するための施設の建設だったのですが、原子炉というのは球体で、しかもかなり年数が経っていたので紙の図面しかない状態。当時は広島におりましたが、結局山の中に実際の原子炉と同じものを作りました。三次元で見ないと、そこからどういうふうに施工して、配管を設置するかなどがまったくできなかったからです。その経験を経て、自分の思うやり方で改革を進めたいと思い、会社を設立したんです。
御社業務の二大テーマは、ICT活用による建築生産活動の合理化と施工計画の安全性検証と伺いました。そのうちの生産活動の合理化というところで、REAL4がサポートになっているということでしょうか?
松本さん:
はい。元々興味があったのですが、ちょうどいいタイミングで営業の方が弊社に来られたので、目の前でパソコンを使って実演してもらったんです。私が思うフローをやってみてくれとお願いしたら、30分もかからずに図面が出来上がりました。予想以上の出来で、本当に驚きました。後からREAL4の出発点が“造船”にあったと伺い、色々と納得しました。CADの構成が海外ではなく日本人の考え方にマッチしているんです。
日本人の考え方というのはどういうところですか?
松本さん:
実際に鉄工所の方がモノを作りやすいように欲しい部材を配置する、欲しい鋼材の種類を選択するなど、細かいところまで配慮されています。あと、一番驚いたことがあって。建築というのはまず構造設計者というゼネコンが「建物がちゃんと持つか持たないか」を考えます。この高層ビルに対して、柱や梁は大丈夫かを線と数字で計算しているわけです。それを構造計算データというのですが、それをREAL4に入力するとあっという間に3Dモデル化してくれる。次のボタンを押すと、継手やボルトまで一瞬で視覚化できる。僕からしたら、まさにこのソフトは“お宝発見”でした(笑)。
そこで早速購入された、と。
松本さん:
違うんです。欲しいけど、高くて私の会社だけではちょっと買えなかった(笑)。そこで、以前からBIMについて相談を受けていたりんかい日産建設さんに提案をしました。さらに一歩先を目指すためには、効率化が必要な時でしたから、データロジックの営業さんに同行してもらい、りんかい日産建設のミーティングで実際にREAL4を動かしてもらったんです。効果てきめんでしたね。設計の方、施工の方など、一瞬で腑に落ちたようで、そこから弊社とりんかい日産建設さんが同時に使えるように導入してもらいました。
松本さんはREAL4の使い勝手や重要性をとてもよくご理解いただいておりますが、このソフトを用いて、どんな未来を描きたいと思っていらっしゃいますか?
松本さん:
日本のものづくりって各個人のレベルが非常に高い。例えば江戸時代の建設はいい腕の大工の棟梁がいて、そこに瓦屋と左官がいればいい建物ができたんです。水道もトイレもないですからね。でも近代化してきて、電気、水道、ガスに電話と建物に入れ込むものが増えたので、細かな調整が必要になります。どこに穴を開けていいかとか空調のダクトをどうするとか、かなり検証が必要なのですが、それをまとめる術がないんです。それぞれの設計者が2次元の設計図を描くので整合性のないまま、作業が進む。結果、一番大変なのは“現場”ですが、個々の職人さんのレベルが高いがゆえに、何となく辻褄があってしまったりする。もちろん、相当なしわ寄せがきているはずですが。私はそれをもっと早い段階で調整したいと思っているんです。CDE環境が整えば、着工する前にいろんな問題を目の当たりにできます。
なるほど。そこにREAL4が一役買うことができているということですね。
松本さん:
そうですね。私は今、先ほどお話した事前の調整を行う“フロントローディング”を外注で請け負っています。そのためにはCDE環境が必須ですし、そこにはBIMがマストですから、REAL4の必要性が高いというわけです。日本の建物は鉄骨が多いですから、鉄骨が一番先に来ないと話にならない。今はノルウェイ製のCatenda Hubというソフトを使い、そこにREAL4を始めとするその他のソフトを組み込むことで、設計図に描かれているものを3Dでチェックしています。設計者もその会議に出席しているので、設計図に少しでも齟齬が見つかればすぐに解決ができます。
実際に見せていただくと、建物を輪切りにしたような状態で柱や梁、配管やダクトの位置が一目で分かるので、全体像を把握しやすいですね。
松本さん:
私たちはこれを【仮想竣工】と呼んでいます。この形で施工主に見せることができるので、彼らも安心ですし、納得感も高いと思います。しかも、事前に見せることで曖昧な見積もりではなく、必要なものを必要なだけ請求もできます。そういった意味では透明性も増しますよね。あとは、やはり設備に関する方々に早く仕事を始めてもらえるようになったので、残業が減るなど、働き方改革にも繋がっていると思います。
REAL4に対して改善してほしい点はありますか?
松本さん:
他でも話題に出ていると思いますが、分業、いわゆるチームワーク機能があればと思います。海外のソフトでは「私は柱を」「僕は階段を」というふうに同じ空間の中で分業して作業を行います。でも日本ではREAL4を入力される方も職人肌なので、分業スタイルになっていない。注文が重なったときにかかる負担を軽減するためにも、そういうやり方ができるといいですね。
ありがとうございます! 松本さんのこれからの夢は何でしょうか?
松本さん:
日本が誇れるJAPAN BIMを作ること。これができるのがデータロジックさんではないかと思っているのですが……(笑)。まずはチームワーク機能ができるだけでも御の字ではありますが、REAL4がゼネコンさんにもどんどん広まれば、もっと建設業界が前進するはず。それを実現していきたいですね。